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自己破壊同盟

自己破壊同盟

夢日記 3月23日

 あるアパートのリビングルームで、私は慄然としていた。有名な喜劇役者の顔をした私が包丁を持って、その「妻」である私に詰め寄ってくるのだ。「夫」はまるで私そのもの。彼の後ろの廊下には、私の「愛人」の死体がころがっているのが見える。やはりその顔も例の喜劇役者だった。叫ぼうものなら襲い掛かってきそうな神経質さで、「夫」に凝視される。何か言おうとするけれども声が出ない。だが詫びるきにはなれなかった。そんな気持ちは所詮無意味なのだ。ただ追い詰められているにもかかわらず、いまだに彼の愛を信じてた。私を愛するが故の凶行なんだ、彼は心のどこかでまだ私を必要としているんだ、と。彼の目が言っている。(どうせお前も喜劇役者さ)。なるほど、確かに社会の慰み者だ。群集の、それも生彩のない光景として切り捨てられるよりかは、いくらかましな人生でしょう。そう得心した時、急に胸苦しくなったかと見る間に眼界にブラインドが降ろされた。そして混沌としたまどろみの奥から目覚めてみると、朝の爽やかな森の中、無造作に生い茂る樹木の蔓に絡みつかれ、さながら十字架に架けられたかと見紛う姿勢でぶらさがっていた。深い緑翠にさえぎられた下方へ視線を落とし、背後に彼の気配を感じている。彼がお尻に接吻した。すると心地よい風が吹き抜け、体の隅々にまで春を呼び覚ました。その時になって、自分が裸体、いや少なくとも下半身はさらけていると気づく。しかし憔悴しきったように惚け、身は抗わずになされるがまま。いつしか肛門だけで呼吸していた。そう、ずっとこんなふうにしていたかった。でももうおしまい。


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